新潟の糀屋団四郎について

メーカー概要

糀屋団四郎

所在地 新潟県新潟市南区新飯田1607
電話番号 025-374-2611
FAX 025-374-2240
ホームページ http://www.dansirou.com/

糀屋団四郎について

  80m程の川幅を挟んで両岸から畳24枚分の大きさの大凧をそれぞれに揚げて上空で絡み合わせて引き合う、勇壮な「白根大凧合戦」が行われる新潟市南区白根地区(旧白根市)は、新潟市の中心部から南に車で30~40分の所です。その大凧合戦が開かれる街の中心部から更に南に延びる国道8号線は、どこまでも広がる平野の中をまっすぐ貫いていて、その両脇にはぶどうや梨などの果樹棚が立ち並び、この辺りが果実栽培の盛んな田園地域であることが分ります。そして8号線が金物の産地として知られる三条市に入るすぐ手前に新飯田(にいだ)という集落があり、そこに今回ご紹介する「糀屋団四郎」があります。

糀屋団四郎 外観

藤井喜代志代表

  団四郎という名前はいかにも歌舞伎とかお芝居に出てきそうな古めかしい名前ですが、この家の初代の名前でそれ以来、屋号として代々地域の人々から親しまれてきた名前なのです。この「糀屋団四郎」は現在三代目の藤井喜代志さんを中心にご家族で経営している味噌醸造所で、喜代志さんの祖父の定三さんが昭和7年(1932年)に仕事先で身に付けた麹づくりの技術を活かし、自分で味噌造りを始めたと言いますからかれこれ80年以上の歴史があります。

  その創業者の定三さんが仕事を始めるに当たり、煮炊きするための中古の和釜を購入したそうですが、今大豆を茹でるために使っている和釜がまさにその釜です。作られてから100年くらいは経っているのではないかと言われるその和釜は直径が1.2m程で、最近は滅多に見ることができなくなりましたが酒蔵でその上に甑(こしき)を載せて米を蒸すために使う和釜とそっくり同じです。80年以上使い込んで来たこの和釜は、長い歳月の間煮続けた大豆の脂分が鉄の地肌に染み込んで、黒光りするそのドッシリとした風格はこの蔵のシンボルとも言える代物です。

和釜

和釜を使った仕込み

  この「糀屋団四郎」をお尋ねして、いろいろなお話を聞き、蔵を実際に見せて貰って先ず感じたことは、本当に家族だけでコツコツと真面目に造っている味噌屋さんなんだなあ、と言うことです。12月と3月の仕込み時期には東京農大から学生が企業研修生として何名かが2週間程来てくれるそうですが、それ以外は味噌の天地返しも、注文のあるごとに樽から味噌を出して袋詰めする作業も、ラベル作りも、糀を使った商品開発も全て家族でやっているのです。

  しかも糀づくりは、酒蔵でも今では珍しい「大へぎ」と呼ばれる箱型の道具を使っています。「大へぎ」とは糀を作る段階で、麹菌を付けた蒸米の水分調整と温度調整を小分けにして管理するために使う箱です。確かにこのようなやり方の方が少量の糀に対してきめ細かな管理ができるわけですから良いに決まっているのですが、実際作る立場になると面倒で煩わしいと言うことになり、今では麹室の麹菌を付ける麹床の上でそのまま糀を造ったり、自動製麹機を使ったりしている所が殆どなのです。しかもここでは麹室が2部屋あり、それぞれ湿度調節を違えているのだそうです。さすが「糀屋」と名乗るだけあって糀づくりに対する姿勢はまさに真剣で手を抜くことを知らないと半ば呆れるほどの徹底ぶりです。

糀づくり

現在では貴重な糀づくり道具「大へぎ」

  こちらの蔵で造っている味噌は基本的には米味噌と言われる米と大豆と塩で造られるものですが、北海道産大豆や新潟県産大豆、コシヒカリやコシイブキ、天日塩などの素材を味噌の種類によって一番美味しくなるよう相性のよいものを使い分けています。しかしアミノ酸などの調味料も、ソルビン酸などの保存料も、発酵による二酸化炭素の膨張を防ぐため一般的に使われる酒精(アルコール)も、一切の添加物を加えておりません。正に天然醸造無添加手造り味噌で、それも一年間熟成させてから販売しているのです。それは家族だけで目の行き届く範囲内で本当に良いものを少量でいいからしっかりと造ろう、との確固たる思いがなければできないことであり、また人手を使って商売としてやろうとするには贅沢な造り過ぎてかなりの値段にしないと合わないのではないかと思われます。
 そして更に、この蔵では糀に適した状態の米にするために、買い入れた新米を一年間倉庫で寝かせ水分を飛ばしていると言うのです。しかも夏場は高温になるためクーラーを掛けているのです。経営効率や採算性を考えたら、とてもこのようなことはやっていられないのではないかとこちらが心配になる程の凝りようなのです。

丁寧な手作業

早朝から行う仕込み

  こんな蔵だからこそなのかもしれませんが、この蔵にすごい宝物が眠っていたのです。それは平成2~3年頃に仕込んだ味噌で、色はもう真っ黒と言えるくらい濃い色をしていて、20年以上じっくりと熟成を重ねてきたせいで塩分はすっかり落ち着いて円やかになり、香りも円熟した深みと枯淡な豊かさを感じさせてくれます。
 もちろん超軟水の矢代川の水と昼夜の寒暖の差が大きい米つくりには絶好のこの地で作るコシヒカリも、特別栽培米や天日干しはさ掛け米などいろいろな種類があり言うまでもなくこれも文句無しの一級品です。
 味噌汁に使うにはあまりに勿体なさすぎますが、クリームチーズと合わせたオードブルや、素材を活かしたシンプルな料理での深みのある調味料として、またスイーツなどにもお使いいただけるのではないでしょうか。「二十年味噌」として控えめに販売しています。

二十年味噌

 

  とにかく良心の塊のような本物志向の家族がコツコツと真面目に造っている、この手造り味噌を一度ご賞味いただきたいのです。
(写真協力:糀屋団四郎)

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