越つかの酒造について

メーカー概要

越つかの酒造株式会社

創業 1781年
所在地 新潟県阿賀野市分田1328番地
電話番号 0250-61-2748
FAX 0250-58-8441
ホームページ http://www.osakenet.jp/

越つかの酒造について

  ここ「越つかの酒造」は、平成8年に「塚野酒造」(旧水原町)と「越酒造」(旧豊栄市)とが合併してできた酒造会社です。 「塚野酒造」は天明の初め(1781年)頃の創業と言われる歴史ある蔵で、また「越酒造」は昭和62年(1987年)に創業した蔵です。 現在は阿賀野市分田(ぶんだ)の塚野酒造の昔の造り酒屋そのものといった感じの趣ある建物や設備を使って酒の製造を行っています。

  「越酒造」は醸造する酒が大吟醸酒、吟醸酒、純米酒のみという、全量が特定名称酒の蔵だったそうです。しかも 関東信越国税局酒類鑑評会で17年連続入賞を誇り、大吟醸酒のような究極の酒造りの技に長けていた酒蔵でした。
  「塚野酒造」は地元をはじめ新潟市を中心に「代々泉」の銘柄の醸造元として広く知られる老舗酒蔵でした。

越つかの酒造 外観

かつての銘柄「代々泉」

 今も使っているかつての「塚野酒造」の酒蔵には昔から良質な酒を醸す「家付き酵母」がいたことが知られています。 酵母は酒造りには無くてはならない微生物で、麹の働きによって作られた糖分を食べて、アルコールと炭酸ガスを排出する働きをします。 しかもアルコールと一緒に芳香成分であるエステルやその他の有機物も一緒に排出するため、清酒としての香味を造り出す働きもします。 昔は自然の中にいる野生酵母が、知らないうちに桶の中に入ることで酒造りが行われていたわけで、後の研究でこれらの野生酵母が 酒造りに大きな役割を果たしていることが分かったのです。そこでこのような清酒造りに適した働きをする酵母を、日本醸造協会などが分離し純粋培養したものを現在はどこの酒蔵でも清酒酵母として使っているのです。

 この蔵の「家付き酵母」は、広島醸造試験場において純粋培養され、「広島5号酵母」として現在も広島県酒造協同組合から頒布されて いますし、ここでは大吟醸と吟醸以外の全ての酒にこの酵母を使用しています。

蒸米機

麹室

  さてこの蔵で造る酒は、大吟醸以外は新潟県産の米を使い、その米でつくられる麹を他の酒蔵よりは多めに使う麹歩合の高い造りを しています。また酵母は、先程お話した昔からのこの蔵の財産とも言うべき家付き酵母を使っておりますので、ここのお酒の特徴としては 味が穏やかでその中に上品な甘みが立つ、深い味わいのお酒とされています。この蔵の現在の酒造りは、純米酒と本醸造酒を 主体とし特に純米酒のウエイトが高くなっております。その他に「越酒造」が得意としていた大吟醸酒や吟醸酒などの高級酒も造っており、 生産量は全体で1000石弱と他の酒蔵と同様に減少している中で、県外への出荷としては首都圏が殆どの新潟県の酒蔵としては珍しく、 北海道・九州方面への出荷が県外出荷の中でかなりの割合を占めていることが大きな特徴と言えるのではないでしょうか。

  またこの酒蔵の杜氏の伊藤 悟氏は、昨年(平成21年)この蔵に来た方です。その前は新潟県内の他の酒蔵の杜氏をしておりましたが、 請われてこの蔵に移って来られたのです。
 杜氏は酒造りの現場での最高責任者ですので、経営者が思い描く酒を与えられた条件の中で造り上げなくてはなりません。しかし今までの酒蔵とは目指す酒の味や香りも異なりますし、調達できる材料も異なり、蔵の設備や蔵人も全く違うわけですから、そのような新しい環境の中で、自分が指揮を執ってそれまでのその蔵の酒造りをそのまま引き継ぐのはとても難しいことではないのでしょうか。

 伊藤氏はこの蔵での最初の仕込み時期を終えた後の感想として、私たちには想像もつかないほどの苦労と戸惑いを語って下さいましたが、 そこには愚痴や後悔の言葉は一切無く、次の仕込み時期に向けて熱く燃える、日本酒造りに生きる杜氏としての意気込みがひしひしと 感じられるものでした。

 私たちが取材に訪れたとき、仕込み時期を終えた酒蔵の中で伊藤氏は仕込みのあいだ使っていた設備や機器や道具やそして 蔵の中の清掃に追われていました。仕込み時期の最中も、毎日の仕事の内の半分が掃除という酒蔵なのですが、 仕込みが終わった後もまだまだ掃除は続くのです。
 お酒を造る仕事は一見華やかで、数人の蔵人が長い竿のような櫂(かい)を桶の中に入れて唄に合わせてもろみをかき混ぜる姿や、 搾りたての酒を猪口に受けて口に含む姿など楽しそうな光景が思い浮かびますが、実際には地味でキツイ作業が殆どなのです。 特に衛生面には気を使わなければなりませんので、雑菌などが繁殖しないよう神経質なまでにきれいにしなければならないのです。

伊藤悟杜氏

 このように伊藤氏は蔵の中の掃除をしながらも、次の仕込み時期には蔵のこの部分を改良して、もっと効率的に作業ができるようにしたいとか、 こんな酒造りに挑戦してみようとか、次に準備に対しても怠りは無いようです。
 この伊藤氏の酒造りに対する考え方は、「旨ければいいんじゃない」と、必ずしも昔からの酒造りの観念に捉われない自由さを持っています。このことがこの歴史のある蔵の中でどのように調和して開花するのかとても楽しみなのです。

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