【今月の生産者紹介】新潟の越後味噌について

越後味噌醸造 新潟県産の野菜を使い、特製の味噌にじっくり漬け込みました
産地・品種ともに厳選した新潟産の野菜を、特製味噌に段階を経て、じっくり漬け
込みました。昔ながらのしょっぱい味噌漬け。歯切れ、風味をお楽しみください。

メーカー概要

越後味噌醸造株式会社

所在地 新潟県燕市吉田中町5-10
電話番号 0256-93-2002
FAX 0256-92-3837
ホームページ http://www.echigomiso.co.jp/

越後味噌醸造について

  新潟市から南西の方向に約30㎞、新潟と柏崎を結ぶJR越後線に「吉田」という駅があります。吉田駅のあたりは西蒲原郡吉田町の中心でしたが、 その町も2005年の市町村合併により燕市吉田となりました。旧吉田町は、新潟市で信濃川に合流する西川の舟運によって繁栄したところと言われ、 船着場を中心に雁木のある本町通りや天満宮や古い建造物など、嘗ての賑わいを感じさせる町並みが残っています。
  その吉田駅から程近い、商店が連なる通りから少し奥まったところに、昭和6年創業の「越後味噌醸造」があります。

越後味噌醸造 外観

看板

  吉田駅からこの醸造所に行く道の途中に、レンガ造りの古い洋館や、大きな町屋や、高い石塀が続くお屋敷が目に付きますが、 これら一連の建物は嘗てこの辺りで最も大きな財力を誇った今井家のものです。
  今井家は代々長岡藩の御用商人として財力を蓄え、江戸時代中期からこの地の大地主となり、千町歩(約300万坪)余りの土地を有していたと言われております。 明治時代に3000軒ほどの小作人に凶作時の蓄えを義務付けるために今井銀行を設立しました。その後、北洋漁業や回漕業、製薬や酒造業、 更には病院経営など事業の拡大を図って行ったのでした。
  その後時代の変遷とともにそれらの事業も譲渡や集約により縮小し、更に戦後の農地改革により昔から所有してきた広大な農地を手放すことになってしまいました。
  そしてその圧倒的な財力を誇った今井家が手掛けたさまざまな事業の中で、今日にまで引き継がれているものは、家庭薬品業の「香林堂」と今回ご紹介する「越後味噌醸造」だけです。 これだけ多くの事業を展開してきた中で、紆余曲折を経ながらも継続されてきた味噌醸造ですので、そこには現在もオーナーである今井家の味噌造りへの 強い思い入れが必ずやあると思うのです。

 

 

  とかくこのように裕福な企業では、効率化を図るための投資に走りがちに思いますが、この醸造所の中を見る限りそのような気配を感じることができないと言うよりも、 むしろ質素で機械類は少なく、人中心の味噌造りが行われていることが良く判ります。大豆を蒸すための圧力釜が最も大きい機械と言えるのではないでしょうか。 その釜で蒸し上げられた大豆は、挽肉を作るミンサーのような機械で細かく砕かれ、そこにこの工場の麹室で4日間掛けてつくられた麹、発酵を促進させるための 自家製の甘酒酵母と塩と水とが加えられ、機械で攪拌されて出てきたものを竹製のザルに受け、それをベルトコンベアに載せて大きな木製の樽の所に運びます。 味噌樽の高さは2メートル近くもあり、その樽の上から職人さんが樽の底に向かってザルの中身を勢い良く放り込むと、その度ごとにドーンと言う音が蔵の中に響きます。 この作業を飽くことなくずっと一日中繰り返すのです。
  このようにして手数を掛けて仕込まれた味噌は、およそ半年の間樽の中で発酵させた後、切り返しの作業が行われます。切り返しとは味噌の天地を入れ替えることで発酵を 均一にすることと、同時に新鮮な空気と触れ合うことで味噌の発酵を促進させるためです。切り返しの作業は、半年前に放り込んだ味噌を職人がスコップで一杯一杯すくい、 その脇の同じ大きさの空の樽の中に放り込むのです。口でこうして説明することは簡単なのですが、実際にやる職人さんにとってはひとつの樽に4.5~5トンの大豆が 仕込まれているわけですからとても大変な作業です。こうして切り返しを終えた味噌は木製樽の中で再び発酵、熟成を重ね、仕込みを始めてから1年を掛けてじっくり造られるのです。

手作業で樽に入れ替えます

味噌樽の中

  現在の四代目社長の南雲和日古氏は昭和43年に入社し、職人としてここの味噌造りを現場で一から叩き込まれ、遂にこの役職に就くまでになられたわけですので、 誰よりもここの味噌造りに精通し、その美味しさと品質の良さを熟知しているのです。
  この蔵の味噌は全て、杉材を使った木製の味噌樽で仕込まれています。だからこの工場にはこのような高さが2メートル近い木製の樽が50本程あり、 その他に中くらいのものや漬物用の小さいものが数えきれないほどあります。木製の味噌樽は上手く使えば100年以上使えるそうですが、そのために 嘗ては樽職人が在籍し、樽の修理や竹を編んだタガの補修を行っていたそうです。余分な水分を吸ったり、呼吸をする天然の素材でできた木製樽は、 ここ越後味噌醸造の味噌造りには欠かせない重要な道具であり、これこそがこの蔵の持ち味と考えている南雲社長は、トコトンこの木製樽を使える限り使って行こうと考えています。

南雲和日古代表(右)と田中修営業部長(左)

木製の樽

  このように昔からの道具を使い、昔ながらの造りでじっくりと仕込まれた味噌は、今日の調味された味噌に慣れている方には塩分が強すぎると感じるかもしれませんが、 これこそが越後味噌本来の味なのだと、頑として譲らないところがこの蔵の強さであり頼もしさだと思うのです。それは創業時から伝え守られている「安物は駄目だ、 とにかくいい原材料で造れ」との社訓に従い、何よりも材料に対する妥協を許さない真剣さと、より良いものを求める探究心がこの蔵の頑固さの支えになっているのでしょう。
  越後味噌の深い味わいを辛抱強さと愚直さでそのまま今日に伝えるこの蔵の、味噌の美味しさを最も味わうことのできる具がたっぷり入ったお味噌汁に、 この蔵で作られた滋味豊かな味噌漬けを載せたホカホカのご飯、ただそれだけで食事をする幸福感をきっと味わっていただけるはずです。

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